家を建てる時に気をつけてほしいこと

1.土地選びのこと

土地を選ぶときは慎重に、出来るだけ周辺の情報を得てから選定することをお勧めします。周辺の家の建ち方だけでなく、敷地への搬出入の効率なども工期、工費に影響を及ぼします。敷地にかかる法規(道路条件、高度地区、けんぺい率、容積率、防火地域、風致地区など)も自分の条件を満たすかどうか判断するのに重要な要素です。

2.設計契約のこと

建築家に家を頼むならば設計契約をしてから進めるのがお互いの信頼度を守るにはベター、途中でどうしても気に入らなければ解除することを契約に盛り込んでおくのが良いと思います。

3.予算のこと

はじめに予算的な条件だけはきちんと伝えられた方が良いです。住み方の条件だけ伝えても予算と全く合わないことを進められるのはお互いに不安が募るばかりです。あらかじめ私たちはこれくらいの金額で家を作りたい、と言っていただいた方が建築家もそれに合わせた設計案を作成します。また家具などの調度品をどれくらい建築家に頼むかでも随分と異なります。キッチンや収納などすべてオーダーメイドにするだけでも数百万円すぐにかかってしまいます。家具なども含めていくら、と言ってもらえるのがベターです。

4.設計期間のこと

設計期間はなるべく多めにとること。設計を進めているうちに考えが変わることも当然あります。ですから設計期間はなるべく多く取ることをお勧めします(少なくとも半年以上)。工期に関しては通常の住宅(木造2階建て)であれば6�10か月程度と考えます。

5.覚悟について

家を建てる、ということはある意味自分や家族の生活や空間に対する審美感のようなものやものに対する距離感のようなものを明確にしていくことでもあります。ですから家を建てることは自分をさらけ出す、という覚悟が必要です。

6.ものつくりであること

あくまで家の設計はものつくりだと思います。予算ありきの世界なので見積もりがあがってくるとだんだんものに対する感覚が麻痺してきます、同時になぜ建築家に頼むと家具がこんなに高いのか、なぜ大工さんの人件費はこんなに高いのかという疑問も生じます。洋服をオーダーメイドで仕立てるのと同じで家具一つにもオンリーワンのものを提供するのが我々の務めです。同じ型の家具は一つもないのです。インターネットでの値段や安さを売りにしている家具店との値段と比較しても意味ないことはご承知ください。

7.工務店のこと

家が出来た後、長く付き合っていくのは工務店と施主様です。家にはずっとメンテナンスが必要になります。その家を作ってくれた大工さんや工務店が一番わかっているのです。そういう意味でも工務店選びは建築家に任せるだけではなくて自分でも責任をもって調べたほうが良いと思います。勿論つてが全くない場合は建築家に任せるしかないと思いますが、いくつか候補があがった時点で自分なりに工務店を調べてみるとより安心できると思います。

8.家が出来てから

家ができるまでより家が出来てからの方が圧倒的に長いです。そういう意味では家は常に発展途上のものだともいえます。竣工して引き渡されて終わりではなく、本当の家づくりは引き渡されてからはじまります。ですから何でも完璧にしておく、ということではなく家の中にゆとりのあるスペース(無駄なスペース)を作っておく、また出来てから考えて作る、ということでも良いくらいに考えておくとあまりがんじがらめにならないで済むと思います。

9.楽しみながらつくる

最後に家をつくるときは家族や建築家と楽しみながらつくる、というように考えてください。工務店から見積もりが上がって来たときにはおそらく思っていたよりも高く出てくることを覚悟してください。それらを減額していく時の苦労や創意が家をより良くしていくのです。家づくりは終わりのない一生のテーマのようなものです。